お見合いは未経験
番外3:その時の葵ちゃんは。その2
営業場を裏に入ったところで、炯に腕を掴まれた。
「葵!」
「あ…」

「オレ、何かしただろ。」
「いえ。何も…。」

炯は近くの空いている会議室に葵を引っ張り込んだ。 そして、『使用中』に勝手にプレートを変え、あまつさえ、カギまでかけてしまう。

カチャという音がやけに耳に響いて。

「言えよ。何、考えてる?」
炯が葵の身体を会議室の壁に押しつけてきた。

ですから、近いってば!
「ん?」
い…息がかかりそう…。
こんな時にまで、炯にどきどきしてしまう。

「なあ、葵。どきどきしているだろ。でも、言うまで絶対逃がさねえ。」
「違うんです。私が勝手に…。」
「勝手に…何?」

壁に手をつかれて、葵は逃げられない状態で、大好きなきりっとした顔立ちの炯との距離が近すぎる。

耳元は…っ…。
「なあ?いつもと違う場所、興奮しねぇ…?」

しちゃおっか?と耳元に囁かれる。
「や、ダメ…ぜったいダメです…っ…」
「じゃ、言いな?何を勝手に…?」
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