お見合いは未経験
「ええ。その割には全く顔に出ていなかったので。ご存知ないかとずっと思ってたんです。」

「そうか。悪ぃな、配属前から知ってた。」
マジか!?この人、ホントに油断ならない…。

そんな腹芸も出来る人だったんだな。

「でも、お前、関係なくやってたじゃん。おくびにも出してなかったし。だったら、そこ、敢えて触れる必要ある?ないだろ。」
はあ、と貴志はため息をついた。

「銀行は惜しい人を辞めさせましたね。」
「そこが最上と思っている人に、そんな選択肢はない。」

成嶋はきっぱり言って、くつくつ笑っている。

確かに、そうだな。
最初から、選択肢が見えていないわけだから。
       
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