お見合いは未経験
「真奈!」
「っ…はい。」
え?この声?
「遅くなって、申し訳ない。」

爽やかな声。足早に入ってきた、そのすらっとした姿は貴志で。
サロンのスタッフも思わず、目を奪われるほどの美形。

「貴志さん。今日は来られないかと…。」
「抜けて来た。あと、部下にも上司にも言われた。今日はもう帰っていいって。」

むしろ、帰れと言われたよ、と笑っている。
サロンのスタッフには、良かったですね、とひっそり耳打ちされた。

貴志は、スタッフに真奈のドレスを確認している。
「オフホワイトなのか。いいな。落ち着いていて真奈に似合いそうだ。」
「お召になっているところ、ご覧になりますか?」
と尋ねられ、それは当日の楽しみにしましょうか、と微笑みかけていた。

「僕はどうしたらいいかな。」
「新郎さま用の衣装を試着していただきたいんですけど。」
貴志はスタッフに控えめにそう伝えられる。

「そうか。真奈のことばかり考えていた。そうだな。自分用の衣装もいるのか。」

やはり、来て良かったな、と貴志は真奈の頬にふわっと指を滑らせる。

どうしたら、いいんでしょうか。
やっぱり、すっごくステキです!
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