お見合いは未経験
好奇心と無垢な綺麗さ。それを汚す背徳感。
「すごく…、いい…」
「わ、たしも…」
「真奈っ、離して。」

最後だけは自分で仕上げ、残滓をティッシュに出す。
真奈が少し身体を起こしていたので、ごめんね、と言って真奈の跡も綺麗にする。真奈は呆然とした様子だ。

「大丈夫?どこか痛い?」
「いえ、あの…。いろいろ、初めてで。」
「痛くなかった?」
「はい。少しじんじんします。でも、今度はして欲しい、です。」
貴志はくすっと笑う。

上げていた前髪が崩れて下がってきていたので、それをかきあげつつ、
「光栄だな。」
と笑いかけると、真奈が頬に手を当てた。
「はぅ…ホント、素敵です。」

使い途のない面かと思ったけど、そうでもないな。
貴志は真奈にキスをした。
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