お見合いは未経験
そうでしょうね。ところでこの方、何が言いたいのかしら?

「まあ、あの顔だから、相当やらかしてそうだけど。でも、次長にまで、上がっているし営業成績は相当良かったみたいだね。」
「どういうことでしょうか?」

「噂。営業成績はすごく良くて、支店が表彰された時の課長だとか。銀行員だから、まあ、最後まで、はないだろうけど。成績、と言ってもどこまで実力だか。」

営業成績が良かった、と聞くと納得出来る。
相当細かく気遣いして、成績を上げたはずだ。

それは、先日、あのお見合いでも充分分かった。
「柏木代理。あの方、私の婚約者です。」

自分でも、驚くくらいのひんやりした声だった。

柏木は真奈の担当の営業マンとはいえ、育ちは比べ物にならない。

それに、先日接して分かっている。
榊原は相当に優秀な営業マンだ。
気遣いの仕方で分かる。

あなた程度が悪し様に言うのは許さないわ。
私を敵に回す覚悟があって、仰っているなら、いいんですけど。

代理などと言っても、名目だけの課長代理なのは真奈が知っている。

「え…そうなんですか?」
「ええ。父も認めています。」
「すみません。失礼なことを。」
「いえ。」

「あ!あの、小笠原さん、今度のセミナー、僕も担当の1人なんで、向こうの次長とお知り合いなら、お手伝いして頂いていいですか?」
「もちろんです。」
仕事は普通にします。
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