【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
 玲奈ちゃんが目を丸くしている。
 彼女はきょとんとしてから、にぃぃぃっこりと笑った。

「そーだねぇぇー。ごめんね、ひかるちゃん」

 なに、変な独占欲出してるんだ、私。

「小さい頃、私におやつやオモチャを狙われても『いーよ』って譲ってくれた、ひかるちゃんがねー。……で?」

 テーブルに突っ伏さないと話せない。は、恥ずかし過ぎるっ。

「私のこと、眩しそうに見る……」

 大きな姿見に一緒に映る、誇らしそうな彼の視線が面映い。

「か、肩に手を置かれて髪を一房、唇まで持ち上げて、キスしたりとか」

 店員さんが見ているなか、私の手に手をいやらしく絡ませてくるとか。

「『綺麗だよ』て褒めてくれたあと、ほっぺに唇くっつけてきたの」

 鏡と隠岐さんの腕の中に閉じ込められた。

「『このまま、どこかに閉じ込めておきたいな』ってささやいてきて、鏡の中の私に流し目してくるんだよー!」

『いつかひかるが、俺の腕の中から出たくないって考えてくれるといい』

 護孝さんの色気がダダ漏れで、体に腕を巻きつけられたときには昇天しそうになった。
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