【改訂版】CEOは溺愛妻を杜に隠してる
暗躍する多賀見家・上
『妖精を森に誘いこみ成功』

 玲奈はひかるにきづかれないよう、SMSを送った。

 グループ名は『ひかるに旦那様を見つけよう会』
 メンバーは玲奈、父、母、祖母。
 ひかるの両親には声をかけていない。
 
 ひかるの父は『娘は嫁にいかなくていい、俺が一生養ってやる』と思い込んでいるタイプだし、彼女の母は直感に優れているが腹芸が天然なため画策に引き入れるのは難しい。

 また、ひかる自身が木々のこと以外鈍感かと思えば大好き認定した人物についてはよく気がつく。

 暗号はスパイ映画が好きな玲奈の父が考えた。
 やがて玲奈の携帯がブブ、と震えた。

『了解。ひかるのお見合い相手は、エスタークホテルチェーンの隠岐 護孝氏』

 画面を見て、玲奈はぎょっとした。

「うそ! 復帰後第一線なのに大物すぎない?」

 玲奈の大声に、ひかるが振り返った。

「どうしたの?」

「なんでもない」

 玲奈はひらひらと手を振って誤魔化した。
 ないどころか、ありすぎる。

 多分、ひかるは元彼を振って以来、誰とも付き合っていない。
 気になった男性はいたかもしれないが、玲奈に漏らしもしなかった。
 よほど元彼との恋愛で懲りてしまったのだ。
 かえすがえすも、あれがひかるの初恋かつ汚点となってしまったことが悔やまれる。

 ――あのクズは我々が忘れてはいけない汚れだ。

 おそらくひかるの両親も、玲奈の両親も、当時存命だった三ツ森側の祖父も、勿論多賀見の祖母も思っている。
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