アタシと秘密の王子さま
「チビだと思って、痛い目見るの嫌だからな」

彼が掴みかかってくるのを、あたしは振りほど
く。首を絞められたら振りほどきざまに、肘を打ち込んで逃げる。
防御、攻撃、そして逃げる、その繰り返し。

鳥越くんの攻撃は素早い。
突きとか、蹴りとか、たまに風を切る音が聞こえる。

この人、強い。リーチがあるから、やっぱり、まともに組みあっちゃいけない人だ。
だけど、訓練の相手にはもってこいだな…

振り向きざま、空気を切り裂く音がした。
ヤバっ!

目の前に鳥越くんの踵が落ちてきた。
あたしは仰け反って、受け身を取り損ねた。
彼が、しまった、という顔をしているのがよく見えた。スローモーションみたいに。
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