君と見る空は、いつだって青くて美しい



 五つ目。


 私は人前に出ることが苦手……というより、苦痛と言った方がしっくりくる。
 ……あ……苦痛……だけではない、恐怖も伴う。

 例えば、授業でみんなの前で黒板に向かって問題を解かなければいけないときなんか、チョークを持っている手が震えそうになる。
 そして頭の中が真っ白になってしまって、問題を解く場合ではなくなってしまうこともよくある。

 他に、授業のときに人前で本読みをしなくてはいけないときなんか、声が震えそうになるし、上ずってしまって、ひどいときには裏返った声になってしまうときがある。
 私が小学生の頃、本読みで声が裏返ってしまったとき、その授業の後の休み時間のときに、同じクラスの児童から『本読みしてたとき声が変だったよ』と言われてしまったことがあった。
 確かに、私が本読みをしているときに声が裏返ってしまったことは、他の人たちに気付かれているとは思っていたけれど、改めて人から『声が変だった』と言われると、とんでもないくらいの恥ずかしさがこみ上げてきた。
 それ以降、人前で本読みをすることが、もっともっと恐怖になった。


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