君と見る空は、いつだって青くて美しい



「そのときオレ、君にお礼を言いそびれちゃって。体育祭が終わってからも君のことは時々見かけてたんだけど、なかなかお礼を言うことができなくて」


 青野くん……。

 ずっと気にしてたんだ。


「そんなこと気にしなくてもよかったのに」


「ダメだよ。あんなに親切にしてもらったんだから、せめてお礼くらいは言わないと」


 青野くん……。


「ありがとう、青野くん」


 青野くんの言葉を聞いて、私も自然に『ありがとう』という言葉が出た。


「そんな、ありがとうはオレの方だよ。あのときは本当にありがとう」


青野くんは『ありがとうはオレの方』と言ったけれど、どうしてもつられてしまう。


「こちらこそ、わざわざありがとう」


 私も、どうしても『ありがとう』と言ってしまう。


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