今夜はずっと、離してあげない。





私のルーティンは、確実に変わった。

それはもちろん、高校に上がったから、もあるんだろうけど。


いちばんの理由はやっぱり、




「いい加減起きろ、この寝坊助」

「あだっ」



この人、まだ根に持ってるのかと聞きたいほど私の安眠妨害してくるから困る。


恨めしく思いながらデコピンされた額をさすり目を開けると、目の前にはそれはそれは見目麗しい王子サマ……ではなく不審者サマが。



「……あの、女子である私の部屋に入ることに対しての抵抗とかないんですか?」

「お前のどこが女子なんだよ。ほら、メシ出来てるから着替えてリビング来い」




どこぞのおかあさんみたいにお玉片手に……ではないけれども、仁王立ちしてそう言う彼は、どことなく風格がある。

……いやいやいや。おかあさんの風格って謎すぎるよ。自分で言っておいて。



ゆるりと制服に着替えて、リビングに行くと完璧なまでに朝食の用意が整っていて。



同居をし始めてから、機械目覚ましが人間目覚ましに切り替わったり、朝は菓子パンじゃなくてご飯になったりと目まぐるしく変わってきている。


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