今夜はずっと、離してあげない。



ううん、と悩んだ結果、隙間からそーっと覗き見ることにした。


そしたら起きてることもバレないし。もし寝落ちしちゃったっていうパターンなら、電気だけ消せばいいやと思って。


音を立てないように細心の注意を払いながら、そっと隙間からリビングを窺い見る、と。



「……え?」



ぽかん、と。間抜けな声を出してしまった。


ぱちくりと何度か瞬きしたのち、そろりそろりと足音を忍ばせてそこに近寄る。


……すう、すう、と規則正しい寝息を立てて、何かを下敷きにしながらローテーブルの上でご就寝中の千住サマ。

髪の毛もまだ若干湿ってるし、この人いつお風呂入ったんだろ。


そう思いながら、後ろの2人がけソファの上にあった膝掛けをそっとかけた時。



「……っ」



すり、と枕にしていた腕をかすかに動かして、反対方向に向いていた顔が、いきなりこっち側に向いた。


……ああ、わかった。

この人、寝顔が子供っぽいんだ。


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