もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー
4.うわさの女
4.うわさの女

 女ったらしの藤島(ふじしま) 慎吾(しんご)
 おとこ女の城ヶ根(しろがね) 明緒(あきお)
 ふたりのくちゲンカは、伝言ゲームみたいに教室から教室に伝わって。
 お昼休みには、気球みたいにふくらんで、涼子(りょうこ)といっしょにあたしの元に返ってきた。

「すっごい話になってるわよ」
 色鮮やかな花柄のランチバッグを開けながら、涼子が唇をとがらせる。
 不機嫌なのは、あたしが聞かれるたびに説明するのをしぶったせいだ。
「聞きたい? 明緒」
「聞きたくない」
「でも、あたしはしゃべりたいの」
 くぅ。
 あたしが黙ると涼子がはし箱を机の上にぴしゃりと置いた。
 それは、まわりで聞き耳をたてているクラスのみんなへの戦闘開始の合図。

「あんたはねえ、明緒。ずーっと前に藤島くんにふられたことを、いつまでも根に持ってる、超インケン女なんだってよ? そうなの?」
「なっ…!?」
 どこがどうなったら、そんな――。
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