惚れたら最後。
「琥珀お姉ちゃん、今年は絆お兄ちゃんとクリスマス過ごしたら?」

「え、でもそしたら星奈たちはどうするの?」

「わたしは憂雅と一緒にいるもーん!」



憂雅さんが大好きな星奈はクリスマスはあの人と過ごす気まんまんだ。



「だけど、憂雅さんも仕事があるだろうし……」

「いや、大丈夫だ。ありがとう星奈。
姉ちゃんと過ごせなくなった代わりに、星奈が欲しいもの全部持ってきてもらうようにサンタさんに言っとくからな」

「やった!そしたらあとでサンタさんにお手紙書いておくね!
絆お兄ちゃんサンタさんに渡しておいて!」



星奈はそう言うと「流星と麻雀してくる!」と言って走って玄関に向かった。



「大丈夫なの?」



私はコーヒーを一口ちょびっと飲んで、絆の顔色を伺った。



「なんとか時間を作る。憂雅はこの時期特にすることないから大丈夫だ。
みんな親父の生誕祭からの忘年会と新年会で頭がいっぱいだろうし」

「ああ、そっか。絆のお父さん今月27日が誕生日だっけ?
荒瀬組って組長の誕生日を盛大に祝うんでしょ?当の本人は何回か壱華さんと過ごしたいからってすっぽかしたらしいけど」

「……本当になんでも知ってるんだな」

「あら、幼少期から鍛えられた情報収集能力を舐めてもらったら困ります」



そう言うと絆ははっとしたように表情を改めた。
< 134 / 312 >

この作品をシェア

pagetop