ハツコイぽっちゃり物語

ちーちゃん達と合流した時も、

帰りの電車も、

家までの道のりも、

ずっと手を繋いでくれた。


わざわざ家まで送ってくれた先輩に『ありがとうございます』と伝えると鼻を赤くして照れたように『これくらいはさせてよ。まだ彼氏なんだからさ』と言った。


背を向けて行く先輩を見えなくなるまで見送ろうと目に焼き付ける。


くるっと振り向いた先輩が大きく手を振るから私も手を振った。


再び前に向き直り歩きだす。
見えなくなった姿に深く息を吐き出すと白いのが宙に吐き出されて消えていく。

今度は小さく声に出して息を吐くと、震えた声とともに視界が揺らいだ。


泣きたくなんかない。
責めないでと言われたけどやっぱり責めてしまう。
けど――。


見上げた空は澄みきっていた。私の心とは真逆なのにとても綺麗に見えるのはなんでだろう。
珍しく星が綺麗に見える。


うん、きっと大丈夫。

私は先輩が好き。この想いに間違いはない。
大丈夫。変わらないよ。
だからもう一度『好き』と伝える日が来ることを私はこの星たちに願おう……――。

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