【番外編】ロマンスフルネス
寒月祭
都内某所、ごく限られた実業家のみが利用する会員制ラウンジの片隅で、真嶋夏雪(まじま なつゆき)は朝から怒られていた。


「説明して欲しいんだけど、どうしてこんな写真が撮られているのかな。これはナツで間違いないんだよね?」


じとっとした視線を向けて彼を怒っているのは樫月グループ当主の樫月澪音(かしづき れのん)である。澪音の見せるタブレットにはSNSの投稿が映し出されていた。




【悲報】おーくん求愛されるw

クリスマスイブにおーくんを抱えて「好きだ、愛してる」って叫んでるガチイケメンがいたんだけど。

#おーくん #ロンリークリスマス #猛者 #ベリーヒルズビレッジ


コメント:
こいつもいろいろあったんだろ
奇行乙w w w
華麗なる変態
そっとしといてやろうぜ…
おーくんまんざらでもなくね?
イケメン正義




夏雪がタブレットに目を通したところ、書かれている内容について半分ほどしか理解できなかった。これらは全て日本語で書かれているのだろうか。


しかし写真の方は考えるまでもない。投稿者の配慮で目元が隠されているが、おーくんを抱えて走る人物はまぎれもなく自分自身だ。

また、担がれているおーくんは頬を赤く染めて瞳を潤ませていた。エモーションアシストシステムが読み取った透子の感情である。

……可愛い。


よく考えてみれば、これは透子と二人で写っている写真ではないか。

そういえば、これまで二人で写真を撮ったことがなかった。元来写真を撮られるのが嫌いなため、そもそも自分には一緒に写真を撮るという発想がない。しかし、こうして見ると写真というのも案外悪くない。
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