雨は君に降り注ぐ
あっという間に、4時になった。
嵐が丘大学のサークルメンバーも合流して、いよいよ試合が始まる。
体育館には、独特の緊張感が張り詰めていた。
嵐が丘大学の人たちは、皆大きかった。
身長が高いのはもちろん、筋肉量も半端じゃない。
スラっとしている工藤くんや涼介先輩は、当たっただけで潰されてしまいそうだ。
…大丈夫なんだろうか。
理子と涼介先輩は、ベンチで何かを話し合っている。
工藤くんは、1人でシュート練習をしている。
嵐が丘の人たちは、円陣を組んでいる。
私はというと、体育館の観客席にいた。
ここから、練習試合を観戦する。
観客席は、思いのほかごったがえしていた。
その中で、1番前の席をとることができた私は、運がいい。
お客さんは、大学生が多かった。
おそらく、工藤くんや、涼介先輩のファン達。
あの2人は、大学内でもモテる方で、私も何回か、彼らが告白されている現場を目撃したことがある。
結果は毎回同じ。
工藤くん(もしくは涼介先輩)が丁寧に断る。
フラれた女子が、泣きながら帰る。
その繰り返し。
たまに思うこと。
工藤くんも涼介先輩も、冷たい人だな、と。
告白してくる女子たちが、どれだけの勇気を持って気持ちを伝えに来ているか、考えたことがあるんだろうか。
考えたうえで、あんなにあっさりと断るんだろうか。
告白する女子も女子で、フラれるということは、最初から分かっているのではないか。
分かったうえで、告白しているんだろうか。
フラれた後の気持ちは、どれだけ沈むんだろう?
どれだけ傷つくんだろう?
考えただけで、恐ろしい。
きっと私は、すごく弱いんだ。
だから、一ノ瀬先輩に告白する勇気を、持つことができない。