夜明け前の鬼ごっこ
俺の通う学校には、とある噂が存在する。それは、丑三つ時になると死神が動き出し、人間の魂を狩る……というものだ。

「はぁ?それ、ただの噂でしょ?」

俺は、頬杖をついてそう呟く。それを見た友達は、苦笑した。

「噂だとしても……でも、最近多くない?不審死……絶対死神の仕業だって!」

俺の暮らす町では、最近不審死が多発していた。それは友達のように、死神の仕業ではないかという人もいる。

「ふぅん」

友達の言葉を聞き流し、俺は外を眺めた。

「やっぱ、明るいのは苦手だ……」

「そう言う発言してると、根暗になるよ?」

「どうでもいい」

俺が答えると、友達は「相変わらず」と苦笑する。

とにかく放っておいて、そう言おうと隣を見ると、友達の姿は消えていた。

「……」

俺は、窓から空を見る。特に理由は無いけど、気分が落ち込む時があるんだ。悲しい、苦しい、消えたい、辛い……。

何でこんなことを思うのか、俺自身も分からない。俺は、普通の生活を……。

――何で僕ばかり!!

急に流れる記憶。

「……あれ?」

誰かを貶すように、男子たちは笑ってる。何だろう、この記憶。

俺の記憶を駆け巡ってるこの記憶は、俺の知らないもの。

俺、いじめられてたっけ?分からない。何も覚えてないんだ。
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