愛は惜しみなく与う【番外編】
「たまたま通りかかったのか?」

「うん、そうやで!ここあたしのランニングルートやから」


女はお腹すいたなぁ
と自分のお腹をさすりながらあたしを見た。

え?何よ


「ここで話すの嫌やし、場所変えへん?」


いや、何か食べるつもりでしょ?
なんであなたの空腹に付き合わなきゃいけないのよ。


「……買ってくるよ。何がいい?」


は?
泉くんが買いに行く?


「メロンパン」


買わせるの!?ありえない!

あたしは驚きすぎて声も出なかった。
でも泉くんはそのまま少し待ってろと言い、河川敷から姿を消した。


おかしいでしょ


「烈火の総長よ?あなた、何をしてるかわかってるの?」


こんな女、世の中にいるなんて、信じられないんだけど。


「烈火の総長って大袈裟な。今は関係ないやん、抗争中でもあるまい」

「いや、あのね!あなたね、泉君がどんな人だか知ってるの?」

「うん、おねーさんより知ってるよ。てゆうかな、泉を何やと思ってるか知らんけど、ただの優しい男やで。総長が、とか関係ない。あんたがそんな風に見るから、泉が話してくれへんのやろ?」
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