愛は惜しみなく与う【番外編】
手を離れて脱走したところに俺たちはきて、杏が「任せて!とっ捕まえてくる!」と女の子に言った。

とっ捕まえるって犬が悪いことしたみたいだから、やめてあげてほしい。

ま、捕まえれたからいいか。


公園に来たのも、クリスマスの抗争以降、何も起こらないから……何か起こらないかなと思って外に出たらしい。

自らトラブルに飛び込んでいくんじゃなくて、自らトラブルを作り出そうとしているんだ。

確かに拍子抜けするくらい、平穏な日々。

杏はクリスマスの抗争でも絶好調だった。脚なんて折れてたっけ?ってくらいに。
杏が帰ってきたあの日……今ではなんだか遠い昔のような記憶だ。


「そんな脱走したいなら、あたしが追いかけ回したるわー!」


きゃっきゃ言いながら女の子と犬と杏が走り回っている。


平和だ


「泉も、あそぼーや!」


嬉しいけど、犬追いかけるのは嫌だな。てか犬が先にバテバテになってんじゃん。

笑顔でバタバタ動く杏



危ない



「はしゃぎすぎ」



杏が砂に足を取られてバランスを崩す。

こういう時、自分の反射神経の良さに感謝する。
そして杏をずっと見てるから、いち早くその状況に気づける。
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