愛は惜しみなく与う【番外編】
「なんだよ!杏を嫌がったことねーだろ?怖くないよ。たまに朔にブチギレしてる時は怖いけど」


そう笑ってどうぞと後ろを空けてくれた。
そうか。よかった


「あとヘルメットはバイトの子を…最近夜遅い時送るんだ。それ用に持ってる」


……バイトの子を夜遅い時に送る?

はて

野郎は別に送らへんやろ?

え?


「待って待って!女の子!?!?」


心臓でそうになったわ!まじ?
あたしのうるさい声に身体をビクつかせる響は苦笑いをして頷いた。

ま、まじか





「えみりって言うんだ。友達になった!杏も仲良くなってよ!」

「ももももちろん!友達?」

「そう、友達」


そう言ってエンジンをかけて響はバイクを走らせた。
いや、なんかもう、オカンの気分やで。

まじで?モヤモヤしてた気持ちは吹っ飛んで、ウキウキやわ。

バイトか


何人か響のバイト先の女の子は見てる。みんな可愛らしい子やった。
そうか…友達か。

響がそう思えるのって、すごいことよな。


あたしはそのまま響の背中に身体を預けて目を閉じた。


みんな


この短い期間で成長していくよな


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