カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

真面目に見ずに流そうと思えば思うほど、意識はキスの音に向かってしまう。

昨夜のキスは触れるだけだったけど、私たちもいずれこんな激しいキスをするのかな。
ああ、息が上がってくるから、考えちゃダメだ。

恥ずかしくてうつむき、膝を擦り合わせる。

なにも言わない隼世さんがどんな顔をしているのか気になって、下からそっと覗いてみる。

隼世さんは耳まで真っ赤に染めながら、焦点の合わない視線をスクリーンへ向けていた。

見た瞬間にドキッと胸が鳴り、心の中で「わっ」と声がする。
彼も、ものすごく意識してる。

キスしてもいいのに。

モジモジと膝の上で手を擦り合わせてその時を待ち構えるが、いっこうにする気配がない。

私はもう我慢できず、お尻を動かして距離を詰め、彼の膝に置いていた大きな手にそっと触れた。

「……えっ」

彼はピクリと反応する。私が手の甲を指でなぞると、目を細め、体をこちらへ向ける。
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