カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

私はダイニングテーブルのそばに立ったまま、作業中の近藤さんに向かってさらに問いかけた。

「弟さんはなんのご用でいらしたんですか?」

水の音のせいで、私たちの会話の音量は大きくなっていく。

「本社で会議があったようです。早く終わったのでここへ寄って隼世さんを待つつもりだったとか。斗真さんは合鍵をお持ちなので勝手に入ってきましたけど、ご実家にいたはずの私がいたので驚いていました」

「……な、なんて説明したんです?」

ゴクリと息を飲む。

「お仕事が忙しくなったため隼世さんの手伝いに呼ばれていると説明したら、納得されていました。とくに用事はなかったようなので、私が家を出るのと同じ時間にふらっと帰って行かれましたよ」

面倒なことにはなっていないようでホッとした。
まだプロポーズに答えていないため宙ぶらりんの存在である私は、今はご家族には知られたくない。

しかし、せっかく隼世さんに顔を見せに来た弟さんを私のせいで帰らせてしまったのなら申し訳ないと思い、肩を落とした。
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