カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

「聞きたいことがあるんですが」

「はい、どうぞ」

彼女は小皿を置いた。

聞くのが怖い。私の望むような真実でありますように。全部斗真さんの言う通りだったら、どうしたらいいのだろう。

唇を震わせながら、私は覚悟を決め、言葉を押し出すように尋ねる。

「隼世さんは、私が妊娠していると誤解してプロポーズをしたのでしょうか」

近藤さんのお玉でかき回す手がピタリと止まった。
何を考えているか読めない真顔だが、目がパチパチと不自然に瞬きしている。

これは、どちらだろう。なにをおかしなことを言っているのか、という視線か、バレて焦っているという意味か。

「……どこからその話を?」

まずはそう返される。

「斗真さんです。会社で聞きました」

彼女はさらに無表情で数秒黙ったが、やっと困ったように眉尻を下げた。

「隼世さんから聞いたことでないのなら、私からはなにも言えませんね」

否定しない……?

「どうしてですか? 斗真さんに話したのは近藤さんですよね?」

「それも含めて、星野様にはお話しできません」

意味がわからない!
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