カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

今日も仕事を終え、午後七時に帰路に着く。

菜々花さんは定時で帰っているから、先に食事をしている頃だろう。

仕事中も元気がなかった。なにか悩んでいる様子にも見えた。
まさか、俺のプロポーズをどう断ろうかと思案しているのでは。

「やっぱり結婚できません」と言い残して去っていく彼女が思い浮かび、胸がズキンと痛む。

もし悲しい結末になったら、これまで通りの上司と部下に戻れるのか?
いや、俺の方はきっと無理だ。

今でさえ、仕事中は彼女を目で追い続けている。

菜々花さんとキスをした土曜からずっと、その先の想像が止まらない。
隣の寝室で眠っている彼女を起こして「我慢できない」と甘えたくなる気持ちを何度も押し殺してきた。

俺は気軽に手を出せる立場にないが、彼女とこれから一生触れ合えない未来になったら、絶望で胸が張り裂けそうだ。
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