カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

すぐ隣の斗真さんからプルルルと着信側が鳴り出し、彼がそれをスーツの内側から取り出すと大音量に変わる。彼は画面を見てニッと笑みを浮かべ、耳に当てた。

「はいはーい。兄貴?」

ドキッとして、キーボードに置いている手が震える。隼世さんからの電話。私のPC画面にも【どういうこと?】と彼からの返信メールが来ているが、私のメールを待つより斗真さんに問いただした方が早いと踏んだのだろう。

「あっははは。おかしいな、言わなかったっけ? 悪い悪い、忘れてたよ。改めて、星野さんは僕の秘書になったから。もう総務部には戻らないと思うよ」

高笑いの混じった斗真さんの軽快な話し声が嫌でも室内に響き渡る。電話の向こうの隼世さんがなにを言っているかまではわからないが、怒号と思わしき声が微かに聞こえる。
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