身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
 



 そして、最後に聞いた両親の言葉を思い出す。祖母の手紙というものだ。
 文月には何も貰っていない。親戚や友人に充てたものかもしれない。そう思いつつも、庭で燃やしていたというのがどうも気になった。もしかしたら、文月に話した「約束」について書いてあるのではない。文月はそんな風に思った。

 明日から両親はしばらくの間、家を留守にするらしい。文月も、少しの間滞在する予定だった。両親が帰ってきたらその手紙は燃やされてしまうのだ。

 文月は祖母の手紙を探そうと心に決め、ゆっくりと目を瞑った。
 そして、今日だけは祖母との夢を見れるのではないか。そう思い、あまり使えなかったベットで眠った。


 もう祖母には夢でしか会えないのだから。






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