政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 週明けの月曜日。さっそく私は母子手帳の交付に出かけた。

 母子手帳と自治体独自の支援制度の説明を受け、妊婦だということを知らせるキーホルダーももらえた。
 さっそくバッグにつけて帰路につく。

「なんかまだ夢みたい」

 帰宅後。ゆっくりしてから軽く夕食を済ませ、交付されたばかりの母子手帳を眺めてしまう。

 これから検診の時に必要となり、埋まっていくたびにさらに実感するのかも。赤ちゃんが生まれるんだって。
 まだ見ぬ我が子を想像しては頬が緩む。

 どんな子が生まれるのかな。男の子? それとも女の子? どっちに似るんだろう。

 母親として育てていけるか、まだ自信なんてないけれど、大切にしたいと心から思う。

 きっと弦さんはいいお父さんになりそう。だってすごく優しい人だもの。……それこそ、同情で私と結婚できてしまうほどに。

 彼の口から聞いた言葉を思い出すと、今でも泣きそうになる。でもいつまでもうしろ向きな気持ちでいてはだめだ。
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