檻に閉じ込められたウサギ




ご飯を食べ終え
タクシーを探すため歩く




カワサキさんに少し控えめに
腕を絡ませる


こうすれば喜ぶのが分かる

分かってやってる





性格の悪い女だなって思う






カワサキさんの顔を見て
ニコニコしながら喋る


これもちょっとした手管だ








ドンっ……





「あ、すみませんっ!」




誰かにぶつかってしまった



『アズサちゃん大丈夫?』




すかさずカワサキさんが心配してくれる




「大丈夫だよ」





チラッと相手の人を見ると
スーツを着たスラッとした人だった




『…………すみません、よそ見をしていて、
お怪我はないですか?』





「こちらこそ本当にすみません
怪我は大丈夫です」




お互いぺこりと頭を下げると

歩き出した












私の家につき一晩愛された


朝になって起きるとカワサキさんはいない




私を起こさないように
そっと奥さんの元へ帰る






そしてなんとも言えない感情に
包まれる




一緒にいる時は幸せなのに1人になったときの
なんとも言えないこの感情に蓋をして
今日も生きてゆく






これで良い



苦しいくなってどうしようもなくなるくらいなら
あっさりしてるこの関係で良い



私はこれで幸せ




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