トラップ教室
美久に自分の心音がバレるんじゃないか。


変な子だと思われていないだろうか。


そんな不安をずっと感じていた。


しかし美久はあたしの話にちゃんと耳を傾けて、あたしを特別扱いすることもなくなっていた。


最初の頃は名前に「さん」を付けて読んでいたけれど、それもすぐに呼び捨てになった。


放課後一緒に買い食いをしたり、休日にゲームセンターへ行ったり。


そんな当たり前の学生生活が、ようやくあたしにも訪れたのだ。


美久のおかげで他にも沢山の友達ができた。


楽しさを沢山知ることができた。


これからもずっと友達だよ。


そう言って笑ってくれた美久が……あたしの目の前で、死んだ。
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