トラップ教室
あたしは笑いながらティッシュを取り出してマリの鼻についたクリームを取ってあげた。


「ありがとう」


マリはモゴモゴと口を動かしながら言う。


教室内で見ているだけじゃわからないけれど、マリは飾らない性格をしている。


痛い時は全力で痛いと叫ぶし、今みたいに美味しいものを食べた時は全力で笑顔になる。


ほら、今もまた笑顔だ。


こんな風にマリに近づけば近づくほど、マリはごく普通の女の子だとわかってくる。


あたしにはそれが嬉しかった。


「あたしたちはずっと友達だよ」


あたしはそう言ってマリの空いている方の手を握り締めた。


マリは一瞬目を見開いてあたしを見たが、すぐに「もちろん」と、頷いた。


そしてまた大口でクレープをほおばる。


「ほんと、おいしー!」


マリは満面の笑顔でそう言ったのだった。
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