副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「その言葉を聞けただけで、俺は幸せだ」
「…すみません…セフレなのに…。好きだなんて言ってしまって…」

「俺、初めからセフレなんて思っていなかったけど? 」
「え? だって…」

「あんたを抱きたかったから、とっさにそう言っただけだ。それに、俺達は戸籍上夫婦だから。当たり前の事をしているだけだ。なにも謝ることはない」

 そう言われても、涼花は判らない顔をしている。


「とりあえず。これからは、一緒にいてくれないか? 」
「一緒にいるとは? 」

「ここで一緒に暮らしてほしいんだ」
「ここで? 」

「ああ、ここは…あんたと一緒に暮らすために購入したんだから」

 一緒に暮らすために? 
 もしかしてこのダブルベッドも?

 まさか…前に泊ったときに用意された服や靴も?

 驚いた目をして宇宙を見ている涼花。
 宇宙は涼花の額をツンとつついた。

「俺の実家で、気を使って窮屈そうだったから。別居した方がいいと思って、物件を探していたんだ。初めて俺が手にする城だから、最高の物をってさがしたら。このレジデンスが見つかって、ここなら最高だと思ったから購入した。…購入した日に、アンタはいなくなってしまって。でも必ず探し出して、ここで一緒に暮らすと決めてたから。いつ戻ってきてもいいように、すべて揃えていた。服も、靴も、化粧品も。このベッドも、戻ってきたら一緒に寝たくて購入した」
「そんな事が…」

「ここなら、家族が増えても余裕で暮らせるから…」

 家族が増えても。
 そう言われると、涼花は赤くなった。
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