エチュード〜さよなら、青い鳥〜
ぎゅっと抱き寄せられた涼の胸、シャツの下に何か硬いものが触れた。

初音は指でその硬いものをなぞる。

気づいた涼は、シャツの首元から鎖を引っ張りだした。リングが二つ、鎖に繋がっている。
別れを決めたとき、初音が涼の元に置いてきたリングだ。

リング内側にはRとHを鳥の形にデザインした刻印。鳥の目に青いサファイアが埋め込まれている。


「幸せの青い鳥さんだ!見つけたっ!」


気づいた涼音が目を輝かせて、声を上げる。





幸せは、青い鳥の姿をしているらしい。

見つけたら捕まえて、籠に入れて毎日眺めて、永遠の幸せを願うつもりだった。

鳥はその翼で自由に空を行く。見つけることはともかく、捕まえることなどできない。


だが、気づいたのだ。
幸せの青い鳥は、実はすぐ近くでいつも寄り添っていてくれたのだと。


初音は笑顔の涼音を見つめる。それから涼にそっともたれて、幸せがずっと続くことを願った。

























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