冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「いいから、ほらほら早くここに座って」


強引に彼の腕を引っ張ってベンチに座らせた。


彼は緊張したような面持ちで私のことをじいっと見つめている。


「あの……揉むってどこを?」


彼が恐る恐る尋ねてくるので、主語が抜けていたことにようやく気が付いた。


あ、いけないちゃんと言ってなかった。


「肩をもんであげるね」


「……」


彼は額に手をあててハーって息を吐いた。


「びっくりした」


あれ一体どこを揉むと思ってたんだろう。


やだなぁ、雨城くんたら。


もしかして変な勘違いをさせちゃったのかな。


それにしてもあんなに怖いものでも見るような顔しなくてもいいのに。


私のことをなんだと思ってるんだか。
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