冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。

どうも、やはり俺には女子と付き合うとかは向いてないんだろうな。


特にこういう繊細そうなタイプとは合わないよな。


本当の俺は見た目ほど優しくないから。


なんて、考えながら一歩歩き出そうとした。


「雨城くんまた、明日ね」


だけど、彼女は立ち上がってぎこちなく笑いかけてくる。


「……」


「私、明日もここで待ってるね」


さっきよりも明るい声だった。


「……ああ」


彼女をチラッと見たら、さっきはじめに会った時と同じような明るい笑顔を浮かべてる。


あれ?


彼女、意外にめげないタイプなのかな。


「じゃあ、また明日も10分だけど」


俺は無意識に少し口角があがっていた。


「うん。10分楽しみにしてるね」


ふんわりとした笑顔を向けられた。


また明日なんてなんでもない言葉を女子に向ける毎日が俺におとずれようとは。


だけど、こんな日々がいつまで続くんだろうか。

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