癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
何?動物??この森には小動物しかいないはず。野ウサギなら捕まえたいと思い、
私はゆっくりと木の茂みの方に近づいた。

そうっと茂みを覗き込むと、

「えっ?!嘘?!」

肩に矢が刺さった男性が倒れていた。

私は咄嗟に、動いた。
その男性に駆け寄り膝をつく。

息は…口元と鼻の辺りに耳を近づけ確認する。

息はある!

手首の内側にそっと指を当て、脈を確認する。

脈が弱い。

次に大きい声で呼びかけた。

「聞こえますか?」

普段、おじいちゃんの仕事を見ているので、意識があるかを確認する。

呼びかけに答えない。駄目だわ。肩に矢が刺さっただけなのにここまでなるのはおかしい。

「矢を抜きますよ」

聞こえないと思うがとりあえず声をかける。

「3、2、1」

「ウッ!」

男性が呻いた。
傷口と垂直になるよう真っ直ぐに矢を引き抜いた。

矢から嫌な匂いがした。

この匂い…毒だ。矢の先に毒を塗るなんて信じられない!小競り合いに毒を使うなんて!騎士が一人でも亡くなったら大問題となり、戦争に発展しかねないのに…。

おじいちゃんに怒られるけど…いいよね。

ソフィアはキョロキョロと辺りを見回して、人がいないことを確認した。

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