冬の雨に濡れて
第15話 二人で学校へ相談に行った!
今日は学校訪問の日、俺は午後休暇にして、もよりの平和島駅前で未希と3時30分に待ち合わせをした。改札口を出ると未希が待っていた。未希は私服で来ていた。ここから歩いて7分位と未希が言ったので付いて行く。

未希は校舎の中へ先に入って行った。今日は2学期の終業式があったようで、授業はもう終わっているようだった。学校に人影は少ない。玄関で待っていると未希が呼びに来た。女の先生が一緒にいた。

二人は応接室に案内された。すぐにもう一人年配の男の先生が入ってきた。「美崎未希の保護者の山内です」と言って二人と名刺交換をする。男の先生は副校長だった。俺から話し始めた。

「お時間をいただきありがとうございます。今日は美崎未希の学業の相談に参りました。まず、私と美崎未希との関係ですが、全くの赤の他人です。彼女が家出しているのを偶然保護しました。家出の理由は本人から話させます」

打ち合わせたとおりに未希が話し始める。

「今年の4月に母親が亡くなりました。過労が原因とお医者さんが言っていました。父親の仕事が定まらないので、母親が家計を支えていました。母が亡くなったので私が働くしかなくて、コンビニでアルバイトを始めました。それで学校に来られなくなりました。父親が暴力を振って無理やり私の働いたお金を取り上げるので、それがいやになり、11月の終わりごろに家出しました。雨の夜に駅で困っていると山内さんが自分の家に連れ帰ってくれました。父親のところへは帰りたくないので、私からお願いして住まわせてもらっています。山内さんは父親のところへ行ってくれて、父親に私との同居を認めてもらいました」

引き続いて俺が話す。

「現在、大田区東雪谷の私のアパートで同居しています。未希は未成年ですので、父親に話して同居を承諾してもらっています。これが父親からもらった同居の承諾書です。念のため申しておきますが、私は保護者として未希を同居させております。気にされていると思いますが、淫行など一切ありません」

「お二人のご関係は分かりました。それで学業について相談したいことはなんですか?」

「未希さんはこの学校では今どういう扱いになっているのでしょうか?」

「授業料が未払いで、通学していないので、長期欠席で休学扱いにしています」

「休学なら、学校へ戻ることはできるのですか?」

「戻るとしても今の3年生へは無理です。欠席日数が多すぎますから」

「それなら、1年遅れて、来年の4月に3年生に復学することは可能でしょうか?」

「可能です」

「それなら、4月から復学させてやってください。お願いします。授業料は私が負担します」

「おじさん、いいんですか? お金かかりますよ」

「いいんだ、未希のためなら。折角だから卒業させてやりたいと思っています。高校中退ではこの先可哀そうです」

「もうあと1年ですから卒業まで頑張って下さい。山内さんにもお願いします」

「復学できることが分かってご相談に伺ってよかったです。現在の私と未希の住所と私の携帯の番号はここに書いてあります。必要な書類があれば連絡してください。それから、この住所を未希の父親は知りませんから、ご配慮をお願いいたします」

「分かりました。復学の手続きは追ってご連絡します」

副校長と石田先生にお礼を言って二人は帰ってきた。

「本当に行かせてもらっていいんですか、4月から学校に」

「先生方にも約束して来た。武士に二言はない。授業料と通学定期代は俺が払ってやる。それに月2万円の食事代も払う。他の必要なお金はコンビニでアルバイトして稼いでくれ。それに4月まではまだだいぶあるから貯金しておくといい」

「授業料と定期代も私の身体で返せばいいんでしょうか?」

「よく分かっているな、それでいい」

「分かりました」

未希は嬉しそうに手を繋いできた。少し照れながらも手を繋いで帰ってきた。これで4月から未希は高校3年生に戻れる。なぜか俺も嬉しかった。それにこれで卒業までの1年間、JKの未希は俺の思い通りだ。

1階のコンビニでクリスマスケーキを割引してもらった。復学ができるお祝いにと思ったが、結構大きいので夕食がわりにして二人で食べた。未希は嬉しそうに食べていた。未希はこれでアルバイトに精が出せる。
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