半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
 地道で細かい作業だった。じっと座り込んで、細い茎が千切れないように結んでいく。妖力が大きすぎるとボッと火がついた。

「あつっ」

 ――が、そのたび、熱いと訴えるのはカマルの方だった。

 どうやら、妖力が高いあやかしほど平気であるらしい。アサギが同じように妖力を込め過ぎて『逆さ草』を弾けさせると、その飛び火にも騒ぐのは、カマル一人だった。

「アサギさんっ、わざとじゃないですよね!? ――ぐえっ」

 直後、カマルの顔面が原に埋まった。

「『様』を付けてください。私は伯爵家の執事、そしてあなたより格上です」
「お、俺に対してのみ、すごく厳しい」
「今回、姫様に余計な頼みごとをして、余計な労力をさせているんですよ。それ分かっているんですかね」
「『余計』って、二回言った……はい、すみませんでした」

 リリアとしては、妖力のコントロールの訓練になっていいかなと思っていた。次第にコツが掴めてきて、歪ながら草が繋がっていく様子には達成感も覚えた。
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