お隣さんは裏アリ王子
夏休みが終わり、1ヶ月が過ぎた。


ホームルームが終わって、今にも帰ろうという頃。


「うわ、校門とこにめっちゃ可愛い子いる!」


「誰か待ってんのかな」


「声かけてこいよ」


男の子たちが騒いでた。


耳を塞ぎたくなる。


このクラスには、話したことのない男の子もまだいっぱいいる。


「あれは……」


嫌な声の中、一つ。


私が大好きな声は、聞き逃さなかった。


「斗真、ごめんね、今日先帰ってる」


その声の主、水瀬君は如月君にそう言うとカバンも持たずに教室を出て行った。


数分後、まだ帰らない男の子たちがまた騒ぎ出した。


私たちもなんだか帰りづらくてのこってる。


「あ、水瀬だ」


「えっ?水瀬とあの子、知り合い……?」


「勝ち目ねーじゃん」
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