強引なキミに振り回された結果、恋に落ちてしまいました。



「うちらの約束断って七瀬さんと一緒に居たなんて……」



絶句している女の子は確かにそう呟いた。



神風くん、先に遊ぶ約束をしていたの?


それなのにわざわざわたしに声をかけて、勝手な約束を取り付けて、買い出しに一緒に行ってくれたっていうの?



「神風くんとちょっと一緒にデートできたからっていい気にならないでよね。神風くんは七瀬さんと釣り合わないんだから」



神風くんとわたしは釣り合わない。


そんなことわかってる。


神風くんとわたしは真逆な存在。


それに、わたしは神風くんが好きなわけじゃない。



「デートじゃなくて、神風くんは学校祭の買い出しを手伝ってくれただけで……」



"デート"ではない。


その誤解を解こうと反論したけれど、そんなわたしの言葉は全然聞いてなんかくれない。



「どうせ七瀬さんが頼み込んだんでしょ?神風くんはみんなに優しいだけだから。勘違いしないでよ」


「……そんなこと」



怒っているところに何を言ってもきっと何も伝わらない。



「おっはよー」


「あっ、神風くんおはよーっ!」



どうこの場を切り抜けようかと困っていたところに神風くんが教室に入ってきた。


それを合図にわたしへ向けられていた鋭い視線はなくなって、わたしはただ1人ポツンとその場に立っていた。



「おはよう、澪」



すれ違いざまに神風くんから声をかけられる。



「……おはよ」



わたしの声は小さすぎてきっと届いていない。


その前に神風くんは隣を過ぎ去って、取り巻きの女の子と一緒に席へ行ってしまったから。




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