海先生のお悩み相談室
透瑠の場合
5月。
ある日の昼休み。



「失礼します……」

「いらっしゃい。どうしたの?」

「……お腹痛いので休ませてください」



険しい表情でやって来たのは、小動物のような可愛い顔をした男子生徒。

ピカピカの制服だから……1年生かな?



“ピピピピ”



「熱はないね。トイレには行った?」

「さっき行きま……うっ、あぁ……」



ギュルギュルギュルと鳴るお腹を抱える彼。

どうやらお腹を下したようだ。

これは苦しそう……。



「トイレ、いつでも行っていいからね?」

「はい……」



お腹を温めるための湯たんぽと、水分補給のために温かい飲み物を彼に渡した。

早く治まりますように……。


5時間目が始まって20分くらい経つと、少し回復したのか、彼がベッドから起き上がってきた。



「お、少し良くなった?」

「はい。ありがとうございました」



丁寧にお辞儀をすると、近くの椅子にちょこんと座り、来室表に名前を書き始めた。

名前は、水沢透瑠くん。やっぱり1年生だったか。
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