あなたの願い、残酷に叶えます。
知っている~大智サイド~
里奈に別れを告げられた時、俺は呆然と立ち尽くしていた。


目の前には知らない男と里奈が腕を組み、幸せそうにほほ笑んでいた。


里奈は俺に見せつけるように、男の頬にキスをする。


なにも言わない俺を見て里奈は小首をかしげ、そして笑った。


「なにその顔、変な顔」


指をさして、笑った。


男と一緒に、笑った。


その瞬間、あぁ、殺したいなって思ったんだ。


こいつ、ナメてんのかって。


少し可愛いからって調子に乗ってんじゃねぇよって。


でも言えなかった。


ショックすぎて、なにも言えなかった。


里奈が男と一緒に俺に背中を向けて歩き始めても、追いかけることだってできなかった。


ただただ立ちつくして、あぁ、殺したいなぁって……。
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