あなたの願い、残酷に叶えます。
すんなり開いたドアに違和感があって目を丸くする。


鍵が掛っていないのだから開くのは当たり前だ。


それなのに、どうして違和感があるんだろう?


不思議な感覚に捉われながらキッチンへ向かい、蛇口の水をそのまま飲んだ。


ゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいると、吐き気はスッと消えていった。


ふぅと息を吐き出して服の袖で口元をぬぐう。


少し気分転換をした方がいいかもしれない。


ずっとタブレットを見ていたから、画面酔いでも起こしたんだろう。


そう解釈して俺は外へ出かける準備をした。


ちょっとそこのコンビニへ行くだけでも気分は変わる。


靴をはき、玄関を開ける。


その瞬間俺はその場に立ちつくしていた。


目の前に広がる光景は山の中だったのだ。


いつも家の前にある道路や向かい側の家がスッカリなくなっている。


「え……?」


俺は慌てて振り向いた。


家の中はいつも通りだ。


なんだこれ、どうなってんだ?
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