あなたの願い、残酷に叶えます。
紗弓があたしになにも連絡せずに学校を休むなんてこと、ありえない。


あたしの思い上がりかもしれないけれど、そう思っていた。


それなのに既読すらつかないということは、きっとなにかがあったのだ。


そう感じ取ったあたしはカバンを掴むと大股に教室を出た。


そのまま学校を出て、紗弓の家へと足を進める。


途中、紗弓の家の近くのコンビニに立ち寄って飲み物とフルーツを買った。


インフルエンザとか、そういう大きな病気かもしれない。


それで返事ができないくらい、しんどい思いをしているのかもしれない。


そう考えたからだ。


そして紗弓の家に到着した。


チャイムを鳴らすと、何度か会ったことのある紗弓のお母さんが出てきた。


紗弓と似ていて、年齢を感じさせない奇麗な人だ。


「あの、紗弓は?」


「2階にいるわ。今日は全然部屋から出てこないのよ。なにがあったのかも言ってくれないし」


紗弓のお母さんは頬に手を当て、困ったように眉をよせて言った。


「そうなんですか」


風邪ではなかったみたいだ。


それならそれでいい。


あたしは頷き、2階へと向かう。


紗弓の部屋のドアには《紗弓の部屋》というプレートがかかっているのでわかりやすい。
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