堕天使系兄の攻略方法。




あの日からお前見るとムカつくし、確か橋本 恭平?だっけ。


そもそもあいつ全然格好良くないじゃん。

角刈りだし眉毛太いし、どこの板前だよって感じでさ。

こいつの趣味どうなってんの?


それでも今日は柚が生まれた日だから。



「食べていいよって言ってんの」


「…え、でも結局私のお小遣───」


「なにか文句ある?」


「…ないです」



俺の昼食である焼きそばパンと野菜ジュースをぎこちなく受け取って、そいつはゆっくりと食べ始めた。


誕生日って何してあげればいいの?
なにをすればこいつは喜ぶの?

そもそもあの体育祭以来、全然笑ってないしお前。



「美味しい?」


「…うん。でも誰かに見つかったら私、退学になっちゃうよ…」


「誰も来ないから大丈夫でしょ」



───と、そんなとき。


ガチャと屋上のドアノブが回されて、数人の男達の声が聞こえる。



「っ…!!」



俺の腕を力強く引いて物陰に隠れた柚。

それは誰かに見つかる恐怖に怯えてるのではなくて。



「おい、いいのかよ本当に」


「バレなきゃ大丈夫だって!」


「俺知らねーぞ恭平!」



その声にいち早くこいつが気付いたからだろう。

そしてその名前を聞いた途端に、俺の中でも何かが生まれた。



< 78 / 244 >

この作品をシェア

pagetop