【完】イミテーション・シンデレラ

「大丈夫。本当にごめんね、笹田さん。後、別に真央が悪いって訳じゃないから」

「うん…何となく分かる。
真央くん、すっごい焦って俺が悪いんですッって何度も私に謝ってきてたけど。
真央くんの事については岬慣れてるもんね」

「真央にも悪い事しちゃった…。思い悩まなきゃいいけど。 ラインの返信しておこう…。 あいつ…ああ見えてメンタル豆腐だから…
昴にも…」

昴にはなんてメッセージを送れば良かったのか。 途中まで文章を作って、結局送信ボタンは押せず仕舞いだった。

伝えなくちゃいけない事は、沢山あったはずよ? でも不思議と指が動かない。

「素直になれるといいね。 岬が頑張り屋さんなのは知ってるけど、意地ばっかりはってたら大切な気持ちも見失っちゃうかもしれないよ」

笹田さんの口調はいつもより穏やかだった。 ずっと一緒に居てくれたマネージャーだ。
もしかしたら最近の私の変化になんかとっくに気が付いてくれていたのかもしれない。

だけど決して何かを無理に訊き出したりはしない。 そんな隣に居てくれるだけの優しさに救われていた。

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