没落人生から脱出します!
何度本当だと言っても、両親は信じてくれなかった。去年初めて会った叔父のブレイクだけは、エリシュカの話をおもしろがって聞いてくれたが、叔父はあれ以来顔を見せてはくれない。
毎日毎日、否定ばかりされているので、エリシュカは癇癪をおこすようになっていた。
「違うの、アリツェ。これじゃないの」
エリシュカは、眉を八の字にして、快晴の空のような青い瞳を潤ませながらそう言った。美しいストレートの銀色の髪が、彼女の動きに合わせて小さく揺れる。
「まあまあ、お嬢様。なにが違うのですか? お芋を揚げたもの、でしょう? お芋フリッターのことですよね」
「この、……ころも? いらないの。あともっと薄く」
「お嬢様、揚げ物は衣をつけるものなのですよ。わがままを言わないでくださいませ」
困っているのはこっちだと、エリシュカは思う。欲しいのはポテトチップスなのだ。お芋を薄く切って揚げて欲しいと、簡潔に分かりやすく頼んだはずなのだ。
なのに出来上がったのは、衣をつけて揚げたフリッターだ。違うと言っても、厨房メイドのアリツェは困るばかり。エリシュカも困ってしまう。
半泣きになっていると、うしろから声をかけられた。
「お嬢、これもおいしいですよ。あっちで食べましょう。その間に、俺にお嬢が欲しかったものを教えてください」
振り向くと、アリツェの息子、リアンが手招きしている。
リアンはエリシュカより三歳年上の八歳だ。母親とよく似た、栗色の髪とこげ茶の瞳を持っている。
「それがいいわ。お嬢様、食べてみてください。これだってほっぺたが落ちるほどおいしいんですから」
エリシュカはまだ納得がいかなかったが、アリツェに追い立てられてしまったので、渋々と頷いてリアンについて行った。
毎日毎日、否定ばかりされているので、エリシュカは癇癪をおこすようになっていた。
「違うの、アリツェ。これじゃないの」
エリシュカは、眉を八の字にして、快晴の空のような青い瞳を潤ませながらそう言った。美しいストレートの銀色の髪が、彼女の動きに合わせて小さく揺れる。
「まあまあ、お嬢様。なにが違うのですか? お芋を揚げたもの、でしょう? お芋フリッターのことですよね」
「この、……ころも? いらないの。あともっと薄く」
「お嬢様、揚げ物は衣をつけるものなのですよ。わがままを言わないでくださいませ」
困っているのはこっちだと、エリシュカは思う。欲しいのはポテトチップスなのだ。お芋を薄く切って揚げて欲しいと、簡潔に分かりやすく頼んだはずなのだ。
なのに出来上がったのは、衣をつけて揚げたフリッターだ。違うと言っても、厨房メイドのアリツェは困るばかり。エリシュカも困ってしまう。
半泣きになっていると、うしろから声をかけられた。
「お嬢、これもおいしいですよ。あっちで食べましょう。その間に、俺にお嬢が欲しかったものを教えてください」
振り向くと、アリツェの息子、リアンが手招きしている。
リアンはエリシュカより三歳年上の八歳だ。母親とよく似た、栗色の髪とこげ茶の瞳を持っている。
「それがいいわ。お嬢様、食べてみてください。これだってほっぺたが落ちるほどおいしいんですから」
エリシュカはまだ納得がいかなかったが、アリツェに追い立てられてしまったので、渋々と頷いてリアンについて行った。