東京ヴァルハラ異聞録
「私達も帰りましょう。ゼロ・クルセイダーズは潰れても、どうやら新しい脅威が生まれたみたいですから。ここで消耗すれば、橋本さん達に有利になってしまいますから」


月影もまた、嵐丸さん達を引き連れて帰って行った。


「……わたるくん!どういうつもりですか!我々の任務は偵察でしたよね!?僕達を逃がしてくれたのは感謝していますが……キミは、二つの勢力が共闘して打ち解けるかもしれないという可能性を潰したんですよ!」


俺を指差して、怒鳴りつける千桜さん。


成り行きと言うか……俺が川本を助けたいと思った結果こうなった。


それに対しては後悔はないけど、そんな算段があったとは思わなかった。


「びっくりしたけどな。まさか昴が三宅を倒すなんてさ。こりゃあ、俺も頑張らなきゃな」


「何馬鹿なこと言ってんのさ!月影の言葉聞いただろ!?こいつ、西軍の新たな脅威って言われたんだぞ?つまり、新しい敵だって事だろ」


喜ぶ悟さんとは対照的に、頭を抱えたのは愛美。


「つまり、そういう事です。わたるくんは、ゼロ・クルセイダーズに変わる、強大な力を持った勢力と見られたわけです。一緒にいた僕達までね」


それが、どういう意味かはわからなかったけど、穏やかな話にはなりそうにないと感じた。
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