東京ルミナスピラー
そんなこんなで、舞美さんが何とか紹介をしてくれたおかげで顔合わせも済んだ。


聖戦から帰ってきた俺達はかなり疲労していて、とりあえず休もうということになった。


外もすっかり暗くなって、腹も減ってはいるけど、それよりも眠りたい欲の方が強くて。


舞美さんにホテルの鍵をもらい、部屋に向かった。


「じゃあ、葵も宗司もまた明日ね。明日こそ……お父さんとお姉ちゃんを見付けようね」


そう言って灯は、俺の隣の部屋に入って行った。


宗司は復活したばかりでまだ元気そうだけど、俺が構ってやれるほどの元気がない。


部屋に入り、ベッドに仰向けに寝転がると、風呂に入るのも歯を磨くのも面倒で、ゆっくりと目を閉じた。


突然東京に現れた白い塔と、それを囲むような光の幕。


その中に捕えられた姉さん。


姉さんを助けに、その中に入った父さん。


そして俺達……か。


「出られないなんて。何だってんだよ、この街は」


最初は父さんと姉さんを見付けてすぐに出るつもりだったのに、吹雪さんと拓真と出会って、俺の中で気になることが増えてしまった。


母さんの知り合いが、俺を見て涙を流したんだ。


気にならないはずがない。
< 100 / 1,486 >

この作品をシェア

pagetop