東京ルミナスピラー
「はぁ、はぁ……上手くいったね、大成功!」


「いぇーい! 作戦勝ちだな!」


しばらく走って、母さんが追い掛けて来ないのを確認した灯と宗司が、俺の前でハイタッチをする。


いや、何がいぇーいだよ。


というか、お前らも招待状を受け取っていたって、どれだけ大量に送られているんだよ。


「じゃ、気を取り直して行こうぜ。さっと行ってさっと帰れば、おばさんも許してくれるって」


「そうそう、もうここまでしたんだから、葵が帰れって行っても帰らないんだからね!」


言い出したら聞かない灯に、お気楽な宗司。


こりゃあ本当に、帰れと行っても帰らないパターンだな。


俺一人で行って、父さんと姉さんを見付けるつもりだったのにさ。


だけど……一緒にいてくれる人がいるというのは心強いもんだ。


「まったく。何が起こっても自己責任だからな! 文句を言うんじゃないぞ!」


御茶ノ水駅を右に見ながら、天高く地面から噴き出している光の壁を見上げて、俺は一歩踏み出した。


この中で一体何が起こっているか、知りもせずに。


何のためにこの光と白い柱が現れたのか。


何もわからないまま、俺達は光の中に足を踏み入れたんだ。
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